急に抜け毛が増えたのはどうして?心と体の負担から数か月後に起こる「休止期脱毛症」と、様子を見ていい目安【連載第2回】ストレスと髪の関係
こんにちは。おもろまちヘア美容Clinic 院長です。
10月も後半に入り、沖縄でもようやく過ごしやすい日が増えてきました。季節の変わり目は、体調を崩しやすい時期でもあります。
どうぞご無理なくお過ごしください。
シャンプーのたびに、指にからむ髪がいつもより明らかに多い。乾かしたあとの床に、髪がたくさん落ちている。
髪のご相談では、こんなお悩みも多くお聞きします。
「抜け毛が急に増えた」
「髪が細くなって、ボリュームがなくなり、地肌が目立ってきた」
抜け毛が急に増えると、不安で頭がいっぱいになってしまいますよね。
そして振り返ってみると、数か月前に高い熱を出した、忙しくて食事がおろそかになっていた、大きな手術を受けた。そんな出来事に思い当たることがあります。
連載「ストレスと髪の関係」の第2回です。前回は「ストレスで薄毛になる」という言葉について、毛髪科学で分かっていることを整理しました。
今回は、こうした「急に増えた抜け毛」の背景にあることが多い「休止期脱毛症」についてお話しします。
こんな方に読んでいただきたい記事です
・ここ最近、急に抜け毛が増えて不安な方
・数か月前に体調を崩した、忙しさや食事の乱れが続いた方
・この抜け毛が、いつまで続くのか知りたい方
「急に抜け毛が増えた」と感じたら、まず知っておきたいこと
1. 増えた抜け毛の多くは「入れ替わり」の途中
・急に増えた抜け毛の多くは、次に生えてくる髪へバトンを渡すための、生え変わりの一部です。
2. きっかけは「数か月前」にあることが多い
・抜け毛が増えた時期と、原因になった出来事の時期にはずれがあります。そのため、なかなか結びつけにくいのです。
3. 多くは数か月で落ち着いていく
・すべてではありませんが、時間とともに自然に落ち着いていくことが多いといわれています。
では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。髪の生え変わりのしくみから見ていきましょう。
どうして、髪がまとめて抜けるの?
髪は、伸びる時期(成長期)、伸びるのをやめる時期(退行期)、休む時期(休止期)をくり返しています。これを「ヘアサイクル」と呼びます。
ここで大切なのが、頭の髪のヘアサイクルは、1本1本がそれぞれ独立しているということです。
1. 成長期の長さはバラバラ
・成長期の長さは毛によって、およそ2〜6年とばらつきがあります。
・そのため、休止期に入るタイミングもそれぞれ違います。
2. だから髪の量は一定に保たれている
・毎日一定の数が抜け、一定の数が新しく生えてくる。
・この「バラバラ」のおかげで、髪の量はある程度一定に保たれているんです。
3. 休止期脱毛症は、そのリズムが「そろってしまう」状態
・体に大きな負担がかかると、本来は成長期にあった多くの毛が、一気に休止期へと移ってしまうことがあります。
・休止期はおよそ3か月続くため、きっかけから少し時間がたってから、まとめて抜けてきます。
・その結果、1日に100本以上の抜け毛が出るようになります。これが「休止期脱毛症」です。
ちなみに、休止期の毛が自然に抜けることは「休止期脱毛」と呼ばれ、ふだんの抜け毛も含まれます。「休止期脱毛症」は、それとは区別される状態を指す言葉です。
数か月前の出来事に、思い当たりませんか?
はっきりした原因が分からないことも少なくありませんが、きっかけとして知られているものには、次のようなものがあります。
1. 体への大きな負担
・高い熱が出る感染症、外科手術、体力を消耗する病気など。
・新型コロナウイルス感染症のあと、3か月ほどして抜け毛が増えたというケースも知られています。
2. 栄養の不足
・急激なダイエットによる体重減少、カロリーやたんぱく質の不足、鉄の不足など。
3. ホルモンの変化
・甲状腺の働きが低下したり、高まったりしているとき。
・そして出産後。7月の連載でお届けした「産後の抜け毛」も、実はこの休止期脱毛症の代表的な例です。出産後2〜5か月ごろから抜け毛が増え、半年ほどで髪の量が戻ってくるといわれています。
4. 頭皮のトラブル
・脂漏性皮膚炎や、かぶれ(接触皮膚炎)など。
5. お薬の影響
・血液をサラサラにする薬や、一部の血圧の薬など。
・気になる場合も、自己判断でやめずに、処方した医師に相談してください。
そして、こころの負担について。前回もお伝えしたように、ストレスを受けたときに体内でつくられるホルモンによって、ヘアサイクルが乱れる可能性があるといわれています。
心と体は別々ではありません。どちらの負担も、髪のリズムに影響することがあるのです。
この抜け毛、いつまで続くの?様子を見ていい目安
1. 数か月で落ち着いてくる場合
・休止期脱毛症の多くは、数か月で自然に落ち着いていきます。これを「急性休止期脱毛症」と呼びます。
・抜け毛の量が少しずつ減ってきているなら、焦らず見守っていきましょう。
2. 6か月以上続く場合
・原因が取り除かれないままだと、1日100本以上の抜け毛が長く続くことがあります。6か月以上続くものは「慢性休止期脱毛症」と呼ばれます。
・髪全体が少しずつ薄くなることもあり、女性型の薄毛との見分けが難しくなる場合もあります。
「そのうち落ち着くはず」と思いながら、半年近く続いている。そんなときは、ひとりで様子を見続けず、一度相談してみてください。
抜け毛が気になる日に、今日からできること
1. きっかけを振り返る
・抜け毛が増え始めた2〜3か月前に、発熱や手術、急な体重の変化、忙しさが重なった時期がなかったか、思い出してみましょう。
2. 食事を「抜かない」ことから
・急なダイエットや食事の偏りは、髪の材料不足につながります。
・完璧を目指さなくて大丈夫です。まずは1日3食、たんぱく質を意識することから始めてみてください。
3. 抜け毛の量と期間を記録する
・週に1回、同じタイミングで抜け毛の様子をメモしておくと、「落ち着いてきているのか」「長引いているのか」が分かりやすくなります。
体と心をいたわりながら、一緒に確かめていきましょう
抜け毛が急に増えると、どうしても悪いほうへ考えてしまいがちです。けれど休止期脱毛症の多くは、体がひとつの負担を乗り越えたあとに起こる、一時的な生え変わりの波です。
がんばってきた体と心が、少し休みを求めているサインなのかもしれません。
「抜け毛を責める」より「自分をいたわる」。そんなきっかけにしていただけたらと思います。
そのうえで、抜け毛が長引くとき、ほかにも気になる変化があるときは、専門家と一緒に原因を確かめることが安心への近道です。当院では毛髪診断士が頭皮と髪の状態を確認し、必要に応じて医師と連携してご相談にのっています。
次回予告
第3回のテーマは「円形脱毛症」です。「円形脱毛症はストレスが原因」と聞いて、不安になったことはありませんか。実は、ストレスを感じていなくても起こることが多いといわれています。円形脱毛症が起こるしくみと、正しい向き合い方を、やさしく解説します。
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