【睡眠と髪の成長】夜更かしが招く頭皮の血流低下と成長ホルモンの秘密【連載第1回】AGA薄毛と生活習慣
8月に入り、沖縄はいよいよ本格的な夏の暑さを迎えていますね。
夜風が少しだけ涼しくなる時間帯に、テラスでのひとときや車でのドライブ、夜遅くまでのレジャーなどで、ついつい夜更かしをしてしまう方も多いのではないでしょうか。
しかしその一方で、「最近なんとなく寝不足が続いていて、分け目やつむじのボリュームが減ってきた気がする……」と、鏡の前で心細い気持ちになってはいませんか。
「このまま髪が薄くなってしまうのではないか」「生活が乱れている自分のせいだろうか」と、ひとりで深く悩んでしまう方も少なくありません。
しかし、そのお悩みは決してあなたのケアが怠っていたからではありません。
実は、夜の過ごし方(睡眠習慣)と、髪がすこやかに育つための仕組みには、とても深い関係があるのです。
今回は、なぜ睡眠が髪の美しさと強さにこれほど大きな影響を与えるのか、その理由と、今日からできるホームケアについてお話ししたいと思います。
髪は夜に伸びる?副交感神経と血流の深い関係
そもそも、私たちの髪の毛は、一日中同じペースで伸びているわけではないことをご存じでしょうか。
実は、毛髪科学の研究では「髪は夜に最も伸びる」と考えられています。
その鍵を握っているのが、私たちの体をコントロールしている「自律神経」の働きです。
私たちが夜に眠りに入ると、体をリラックスさせる「副交感神経」の働きが活発になります。
副交感神経が優位になると、全身の末梢血管がじんわりと拡張し、頭皮を巡る血液の流れがよくなります。
髪の毛の約90%は、18種類のアミノ酸が結合してできた「ケラチン」という丈夫なタンパク質で構成されています。
このうち、髪を物理的に硬く丈夫にし、しなやかな弾力を与えるためにもっとも多く含まれているのが「シスチン」というアミノ酸です。
拡張した血管を通って、このシスチンの原料となる良質なアミノ酸や水分が毛母細胞へたっぷりと届けられるため、夜間に髪の成長がぐっと早まるのです。
また、質の良い睡眠は、毛根の細胞分裂を促す「成長ホルモン」の分泌を促し、地肌全体のすこやかな環境づくりをサポートしてくれます。
寝不足が招く「栄養ストップ」という落とし穴
では、慢性的な睡眠不足や、遅い時間までの夜更かしが続いてしまうと、髪にはどのようなダメージが及ぶのでしょうか。
体と脳が十分に休まらない状態が続くと、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
本来なら副交感神経が働くべき夜間に、体を活動モードにする「交感神経」が優位なままになってしまうのです。
交感神経が働き続けると、血管は強く収縮してしまいます。
すると、心臓からもっとも遠く、重力に逆らって血液を届けなければならない頭頂部(分け目やつむじ)の毛細血管が真っ先に収縮し、血流が滞ってしまいます。
この状態が続くと、せっかく食事から取り入れた大切なアミノ酸や酸素が毛乳頭に十分に届かなくなり、毛母細胞は栄養不足に陥ってしまいます。
本来なら数年あるはずの髪の「成長期」が短くなり、十分に育ちきらないまま細く抜け落ちてしまう、ヘアサイクルの乱れにつながることがあります。
こうしたお話をすると、「自分の生活が不規則だから、薄毛(AGA)になってしまったのではないか」と、ご自身を責めてしまう方も多くいらっしゃいます。
ですが、どうぞご安心ください。
医学的には、AGA(男性型脱毛症)の主な原因は、生活習慣の乱れそのものではないと考えられています。
AGAは、遺伝的な要因や男性ホルモンの影響によってヘアサイクルが短くなっていく、進行性の脱毛のひとつとされています。
そのため、どれほど睡眠を整え、規則正しい生活を送っても、生活習慣だけで進行を完全に止めることは難しいと言われています。
ただ、規則正しい生活を送り、しっかりと睡眠をとることは、髪がこれから健やかに育っていくための土台(頭皮環境)を整え、進行のスピードをゆるやかにするために、とても大切なことです。
治療を受けている方であれば、この土台があってこそ、効果もより感じやすくなると言われています。
原因そのものはホルモンや遺伝であっても、生活習慣をすこやかに保つことは、あなたの大切な髪の未来を守るために、大きな役割を持っているのです。
今日からできる、快眠習慣で頭皮のめぐりを整えるポイント
沖縄の8月の暑さを乗り切りながら、すこやかな髪のめぐりを整えるために、今日から次の2つのポイントを意識してみてください。
- 入眠直後の「最初の3時間」の質を高める:髪の成長を促す成長ホルモンは、寝入ってから最初の深い睡眠のときにもっとも多く分泌されます。寝る直前にスマートフォンなどの強い光を見るのを控え、頭皮と目がリラックスした状態で眠りにつくことが、発毛環境を整える大きな一歩になります。
- 夕方以降は温かいノンカフェインの水分を摂る:夜の水分補給に冷たい飲み物を多く摂ると、内臓を冷やして血管の収縮を招きます。夕方以降は、少し薄めのさんぴん茶や、温かい麦茶・白湯をゆっくり飲むことで、体を内側から温めて血管を開き、スムーズな入眠へと導くことができます。
髪のボリューム低下や抜け毛のデリケートな変化は、おひとりで思い悩んでいると、その不安自体が肩や首のこわばりを招き、地肌への血流をさらに滞らせてしまうことがあります。
「自分の生活が悪いせいかな」と、どうかご自身を厳しく責めないでくださいね。
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― 次回予告 ―
次回は、髪の約90%を占める「ケラチンタンパク質」を体の中でどう組み立てているのか、そのために欠かせない栄養素についてわかりやすくお話しします。
次回のコラムも、ぜひ楽しみにしていてくださいね。
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