海やプールの後、髪はそのままで大丈夫?毛髪科学が警告する「塩分・塩素」のダメージと緊急美髪ケア【連載4第回】夏の髪と頭皮のお手入れ
こんにちは。おもろまちヘア美容Clinicの院長です。
まだまだ暑い日が続きますね。
この時期は、海水浴やダイビング、プールなど、水と親しむ機会がぐっと増える方も多いのではないでしょうか。
でも、楽しく泳いだ後の帰り道、「髪がゴワゴワ・ギシギシしてブラシが通らない」「あとで家でお風呂に入るときに洗えばいいや」と、海水やプール水で濡れた髪をそのまま自然乾燥させてしまっていませんか。
実は、海やプールのあとのケアを後回しにすると、髪は思っている以上に大きな負担を受けてしまうことがあります。
「夏のヘア対策シリーズ」も今回が最終回です。
毛髪科学・香粧品科学の知見をもとに、海水と塩素が髪と頭皮に与える影響の実際と、泳いだその場でできる「3つの緊急レスキューケア」についてお話しします。
海水がもたらす「アルカリ」と「塩分」のダブルパンチ
海で泳いだ後の髪のゴワつきやパサつきは、海水に含まれる成分と、それによって起こる物理的な変化が関係していると考えられています。
①髪のバリアを乱す「弱アルカリ性」への傾き
健康な毛髪と頭皮は、塩結合(イオン結合)がもっとも安定するpH4.5〜5.5の「弱酸性(等電点)」に保たれており、この状態でキューティクル(毛髪の表面をうろこ状に覆っている保護膜)がしっかり閉じて内部を守っています。
一方、海水のpHは約8の「弱アルカリ性」です。
海水に浸かることで毛髪はアルカリ側に傾き、側鎖の塩結合がゆるんで「膨潤(ぼうじゅん)」という現象が起こり、キューティクルが開いてしまうと言われています。
その結果、髪のバリア機能が低下し、毛髪内部の水分やタンパク質、接着成分であるCMC(細胞膜複合体)が外へ流出しやすい、無防備な状態になってしまいます。
②塩の結晶による「脱水」と「摩擦ダメージ」
海水で濡れたまま放置して水分が蒸発すると、毛髪の表面に「塩の結晶」が現れてきます。
塩には強い吸湿性・親水性があるため、毛髪内部に保たれている水分まで奪ってしまう「脱水作用」が起こると考えられています。
これにより、健康な髪が本来保つべき約11〜14%の水分バランスが崩れ、急なパサつきや乾燥につながりやすくなります。
さらに、表面に固着した細かく硬い塩の結晶は、ヤスリのような働きをします。
この状態で無理にブラッシングをしたり、髪同士が擦れ合ったりすると、開いたキューティクルが削れて、切れ毛や枝毛(断毛)が増える原因になると言われています。
海に入る機会が多いサーファーやダイバーの方は、特にこのダメージを受けやすいと考えられます。
プールの「塩素」が引き起こす酸化と色落ち
ホテルのプールや市民プールで泳ぐ場合も、海水とは違う化学的なダメージが潜んでいます。
①殺菌用塩素による「酸化作用」
プール水の衛生管理に使われている「塩素(次亜塩素酸塩など)」は、毛髪に対して強い「酸化剤」として働くと考えられています。
これは、美容室でのブリーチや酸化染毛剤(ヘアカラー)に使われる過酸化水素と、化学的な性質がよく似ています。
塩素が残留した髪では、毛髪タンパク質(ケラチン)の結合が酸化されて切れやすくなり、毛髪の強度が低下すると言われています。
②ヘアカラーの分解と「色落ち・茶色っぽい変色」
塩素の酸化力は、毛髪内部のメラニン色素や、せっかく染めたヘアカラーの染料分子も分解してしまうことがあります。
そのため、プール通いを続けると、髪の明るさが変わり、乾燥してツヤのない茶色っぽい色(褪色)に見えてくることがあります。
「プールの塩素で髪が茶色くなった気がする」という場合は、こうした酸化による色落ちが関係していることが多いと考えられます。
プールの塩素で薄毛になることはある?
「プールの塩素で毛根がダメージを受けて薄毛になるのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、公的に管理されたプール(日本の公共プールでは残留塩素濃度1mg/L程度)の塩素濃度は、WHOの飲料水水質ガイドライン(5mg/L)と比べても低く設定されています。
そのため、プールの塩素が頭皮の毛根深くにまで届いて脱毛症を引き起こす可能性は低いとされています。
ダメージを受けるのは、あくまで頭皮の外に出ている「毛幹部(髪の毛の表面部分)」だと考えられています。
「海やプールで泳ぐと薄毛になる」という噂の真実
昔からよく聞かれる「海やプールに行くと薄毛が進む」という噂について、毛髪科学の視点から整理しておきます。
結論からお伝えすると、塩分や塩素が直接「AGA(男性型脱毛症)」を引き起こすことはないと考えられています。
男性の薄毛の多くを占めるAGAの根本的な原因は、海水や塩素といった外からの刺激ではなく、体の内側の仕組みにあると考えられています。
血液中から毛乳頭細胞に運ばれた男性ホルモン(テストステロン)が、酵素「5α-リダクターゼ(Ⅱ型)」の働きで、より活性の強い「5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)」に変わり、男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)と結びつくことで、毛母細胞の増殖を抑える信号(TGF-β1など)が放出されます。
これによってATP(エネルギー)の産生が妨げられ、成長期が数か月程度にまで短縮し、毛包が小さくなっていくのがAGAのしくみだと考えられています。
では、なぜ「泳いだ後に抜け毛が増えた」と感じる方がいるのでしょうか。
①「切れ毛」を抜け毛と見間違えているケース
塩分や塩素で髪の構造が弱くなると、ブラッシングや洗髪時の摩擦で髪の途中からちぎれる「切れ毛」が増えることがあります。
これを、根元から抜けた抜け毛だと誤解してしまうケースが多いと言われています。
②頭皮の二次的な炎症による影響
海水や塩素を洗い流さずに放置すると、頭皮の常在菌(マラセチアなど)のバランスが崩れ、過酸化脂質や遊離脂肪酸が増えて、接触皮膚炎のような炎症や、フケ・かゆみが出やすくなることがあります。
頭皮環境が乱れることで、休止期の髪の脱落が一時的に増える、二次的な抜け毛が起こる可能性もあると考えられています。
プロが伝授する、海・プール後の3つの緊急レスキューケア
海やプールから上がった直後に行いたい、ダメージを抑えるための3つのケアをご紹介します。
レスキュー1:乾く前に「真水でしっかりすすぐ」(最優先)
海やプールから上がったら、髪が乾いて塩の結晶ができたり、塩素の酸化が進んだりする前に、シャワーの真水(流水)で髪と頭皮をしっかりすすぎ流しましょう。
これがもっとも重要で、即効性のあるケアです。
頭皮と髪全体にたっぷりの真水を流し、付着した塩分や残留塩素をできるだけ洗い流します。
プールサイドや浜辺にシャワーがない場合は、水筒の水などで髪にかけるだけでも違うと言われています。
学校のプール授業や部活動で毎日プールに入るお子様にも、同じケアが役立ちます。
レスキュー2:摩擦を防ぐ「トリートメントやオイルでのコート」
真水ですすいだ後の髪は、弱アルカリ性に傾いてキューティクルが開いた、とてもデリケートな状態です。
ここで、カチオン界面活性剤(陽イオン型界面活性剤)やシリコーン油などが配合されたトリートメント、または洗い流さないトリートメントやヘアオイルを、毛先を中心になじませます。
濡れた髪の表面はマイナスの電荷を帯びていますが、カチオン界面活性剤はプラスの電荷を持っているため、電気的に引き合って髪の表面になめらかな保護膜をつくると考えられています。
これにより、表面の摩擦が減ってブラッシング時の傷みを防ぐとともに、髪内部の水分(11〜14%)が余分に蒸発してしまうこと(空洞化)も防ぎやすくなります。
ギシギシした手触りやパサつきが気になる方ほど、この一手間が仕上がりの差になりやすいと言われています。
レスキュー3:正しいタオルドライと「スピードヘアドライ」
濡れた髪は水素結合が切れており、物理的な刺激にとても弱い状態です。
タオルドライは、髪同士を強く擦り合わせず、タオルで頭全体を包み込むようにやさしく押さえて水分を吸い取るようにしましょう。
ドライヤーは頭皮・髪から15〜20cmほど離し、過乾燥や熱によるダメージを防ぎながら、もっとも乾きにくい襟足・耳周り・そして髪の根元(頭皮)から風を当てて手早く乾かします。
全体が8〜9割ほど乾いたら、最後に冷風に切り替えて仕上げます。
残った熱を取り除き、開いていたキューティクルを引き締めることで、濡れ髪特有のヨレを防ぎ、ツヤのある仕上がりに近づけると言われています。
帰宅後は、いつものシャンプーに加えて、頭皮に優しい洗浄力のシャンプーを選ぶことも、塩分や塩素をしっかり落としながら頭皮への負担を抑えるひとつの方法です。
まとめ:正しく守って、すこやかな髪で夏を楽しみましょう
海やプールの水がもたらす「アルカリ・脱水・酸化」のダメージは、放置すると髪への負担が大きくなりますが、「泳いだ直後に真水でしっかりすすぎ、トリートメントで摩擦を防ぎ、すみやかに正しく乾かす」という3つのケアを意識するだけで、髪の美しさと健康を守りやすくなります。
全4回にわたってお届けしてきた「夏のヘア対策シリーズ」、いかがでしたでしょうか。
第1回:沖縄の強い紫外線、髪や頭皮にも影響する?
第2回:夏の頭皮のベタつき、汗や皮脂が原因?毛髪科学から紐解く頭皮トラブルと皮脂代謝のメカニズム
第3回:冷房で頭皮も乾燥する?沖縄の夏に気をつけたい頭皮の乾燥とバリア保護術
第4回:海やプールの後、髪はそのままで大丈夫?毛髪科学が警告する「塩分・塩素」のダメージと緊急美髪ケア
正しい知識を知っておくことで、ネットの噂や自己流のケアに振り回されず、安心してヘアケアに取り組んでいただけるのではないでしょうか。
もし、「レジャーの後から頭皮の赤みやかゆみが治まらない」「一時的な切れ毛ではなく、根本的な抜け毛や分け目の広がりが気になる」と感じたときは、自己判断で放置せず、マイクロスコープでの頭皮チェックや毛髪診断を行っている専門クリニックに相談してみるのも一つの方法です。
当院は定期的に、髪のお悩みに寄り添うコラムを掲載しています。皆様の髪のお悩みに少しでもお役に立てれば幸いです。
無料カウンセリングはこちらから。
無料カウンセリングのお申込み

薄毛や抜け毛が気になる方へ ――
まずは無料カウンセリングを
「最近、髪のボリュームが減ってきたかも…」そんな気づきの裏に、進行性の薄毛や頭皮トラブルが隠れているかもしれません。ヘアクリおもろまちでは、毛髪診断士がマイクロスコープを使って頭皮を丁寧にチェック。
毛穴のつまりや乾燥、赤みなど、普段は見えない状態を「見える化」し、適切な対策へつなげます。「まだ大丈夫」より「今のうちに」。
まずはお気軽にご相談ください。
初診料&カウンセリング無料!
下記ボタンからLINE・WEBで24時間受付中です。
頭髪のお悩みをお聞かせください

「薄毛かも…」と思ったら、まずは話してみませんか?
「誰に相談すればいいのかわからない」そんな不安を感じている方へ
ヘアクリおもろまちは、専門医と毛髪診断士が連携する“髪のかかりつけ医です。
「ネットだけの情報じゃ不安…」「直接話したい」そんな声にもお応えし、毛髪診断士が直接お電話でご相談を承っています。専門スタッフが、あなたの髪と心に寄り添いながら、丁寧にお話を伺います。
「年齢のせいかな」とあきらめる前に、まずは一度、お気軽にご相談ください。
ご希望の方は、お電話で「毛髪診断士との相談を希望」とお伝えください。
スタッフがご案内いたします。

