髪のことで人の目が気になる…気持ちが沈んだときの過ごし方と、家族ができること【連載第4回】ストレスと髪の関係

こんにちは。おもろまちヘア美容Clinic 院長です。

明日で10月も終わりです。沖縄でも、街のあちこちでハロウィンの飾りを見かけるようになりました。季節のイベントは楽しみな反面、人が集まる場所に出かけたり、写真を撮ったりする機会が増える時期でもあります。

髪のご相談では、こんなお悩みをよくお聞きします。

「人の目が気になる」

「地肌が見えるようになって、気持ちが落ち込む」

「帽子を取ったあとの髪の状態が気になる」

「お風呂上がりや海に入ったあと、鏡を見るのがいや」

そんな気持ちを、誰にも言えずにひとりで抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

髪のことは、見た目だけの問題ではありません。自信や人との関わり方、毎日の過ごし方にまで影響することがあります。

今月は「ストレスと髪の関係」をテーマに、4回の連載をお届けしてきました。ここまでの3回では、ストレスや体の負担が髪にどう関わるのかを見てきました。

最終回の今回は、その反対側。「髪の悩みが、気持ちや生活に与える影響」についてお話しします。あわせて、髪型やウィッグとの付き合い方、話を聞いてもらうことの大切さ、そしてご家族やパートナーができることもお伝えします。

こんな方に読んでいただきたい記事です

・髪のことで、人の目が気になってしまう方

・薄毛や抜け毛の悩みで、気持ちまで落ち込んでいる方

・髪のことで悩む家族やパートナーに、どう接したらいいか迷っている方

目次

髪の悩みが、気持ちや毎日に影響するのはなぜ?

髪や眉毛など顔のまわりの毛は、顔つきや表情の印象に深く関わり、心理的な意味もあると考えられています。今は髪型が自分らしさを表す手段としても大切にされているため、髪の変化は気持ちに響きやすいのです。

髪が薄くなることは、命に関わることではありません。けれど毛髪の専門家の間でも、気持ちのうえでは「きわめて強いストレス」になると考えられ、「生活の質(QOL)」、つまり毎日を自分らしく過ごせているかに深く関わる大切な問題として扱われています。

具体的には、次のような変化が起こることがあるといわれています。

1. 自信をなくし、気持ちが暗くなる

・鏡を見るのがつらくなったり、何ごとにも消極的になったりすることがあります。

2. いつも人の目が気になる

・美容室に入ることや、ほかのお客さんがいることさえ、つらく感じる方もいらっしゃいます。

3. 生活そのものが変わってしまう

・治療のために通院すること自体がつらくなったり、学校や職場に行くのがおっくうになったりする方もいます。

・人に会うのを避けて、家にこもりがちになってしまうこともあります。

「髪くらいで、こんなに落ち込むなんて」と思わなくて大丈夫です。気持ちが沈むのは、それだけ大きな悩みを抱えているからこそ。決して「自分だけ」ではありませんし、恥ずかしいことでもありません。

気持ちが沈んだ日に、今日からできること

髪のことが気になり始めると、こんな過ごし方になっている方もいらっしゃるかもしれません。

・外出前に、何度も鏡で確かめてしまう

・写真に写るのを避けるようになった

・風の強い日や、明るい照明の下が気になる

・美容室の予約を、つい先延ばしにしてしまう

・夜、髪のことを調べ続けて眠る時間が遅くなる

どれも、髪のことを真剣に考えているからこそ起きることです。ご自身を責める必要はまったくありません。そのうえで、今日からできる小さなことを3つご紹介します。

1. 気になっていることを、言葉にする

・「いつごろから」「どこが」「何がいちばんつらいのか」を、ノートやスマートフォンのメモに書き出してみましょう。

・頭の外に出すだけで気持ちが少し整理され、相談するときの手がかりにもなります。

2. 体をゆるめる時間をつくる

・睡眠時間を確保すること、ゆっくり湯船につかること。体が休まると、気持ちも少しずつほどけていきます。

・ヘッドスパなどのマッサージもリラックスできる時間です。強く押さず、指のはらでやさしく動かす程度に。ただし円形脱毛症の部分は、炎症を悪化させるおそれがあるため控えてください。

3. 「できたこと」を数える

・今日は外に出られた、食事をきちんととれた、人と話せた。悩んでいるときほど、小さな「できた」に目を向けることが前に進む力になります。

それでも、気持ちの落ち込みが長く続いて、眠れない、食事がとれない、仕事や学校に行けない日が続くようなときは、ひとりで頑張りすぎないでください。

髪型やパーマ・カラーは楽しんでいい?気をつけたい条件

「髪が薄くなってきたのに、パーマやカラーをしていいのかな」と迷う方は少なくありません。

パーマでふんわり感を出すと、薄く見える部分や狭い範囲の脱毛を目立ちにくくできます。何より、パーマやカラーを楽しめること自体が気持ちにプラスに働き、生活の質を高めると考えられています。そのうえで、次の条件を知っておくと安心です。

1. 頭皮に炎症があるときは控える

・頭皮に湿疹や毛穴の炎症があるときは、悪化させるおそれがあるため控えましょう。

・カラーでかぶれると、それ以降カラーができなくなることもあります。かゆみや赤みが出たら、我慢せずに相談してください。

2. 抜け毛がとても多い時期は、少し待つ

・抜け毛が多い時期の施術は、せっかくの仕上がりが生かせず、「施術のせいで抜けたのでは」という不安にもつながります。施術の前に抜け毛の様子を美容師さんに伝えておくと、一緒に判断してもらえます。

3. パーマとカラーは、同じ日に重ねない

・どちらも毛に負担がかかるため、間をあけることが毛を守ることにつながります。

4. 髪を強く引っぱる髪型は、ほどく時間をつくる

・きつく結ぶ髪型は毛の根元に負担がかかります。ほどいておく時間もつくりましょう。

ウィッグは使ったほうがいい?知っておきたい選び方とお手入れ

ウィッグ(かつら)は、薄毛や脱毛への対処として、いちばん手軽で現実的な方法のひとつです。男性型・女性型の脱毛症についての日本皮膚科学会の診療ガイドラインでも、着用がすすめられています。最近のウィッグは技術が進み、とても自然に見えるものが増えています。

人の目が気にならなくなることで、気持ちが明るくなり、自信を取り戻して積極的になれる方も多いといわれています。

1. 「全頭用」と「部分用」がある

・「全頭用」は全体に髪が薄い方や広い範囲に脱毛がある方に、「部分用」は範囲が限られている方に向いています。

・脱毛が長く続きそうならしっかりしたものが必要ですが、円形脱毛症などで短い期間だけ使うなら、手軽なものでも十分に役目を果たせます。

2. 買う前に、気になることは遠慮なく聞く

・「どこで手に入るの?」「費用は?」「替えは2つ必要?」「お手入れは?」。こうした疑問で踏み出せない方は少なくありません。ウィッグは洗ったりセットしたりもできます。購入前に疑問をすべて聞いておくと安心です。

3. 新しい髪のじゃまはしないけれど、蒸れには気をつける

・ウィッグを使っても、新しく生えてくる髪のさまたげになることはありません。

・ただ、帽子と同じで頭皮の温度が上がり汗がこもるため、皮膚の常在菌が増えて炎症が起こりやすくなります。頭皮とウィッグ、両方を洗って清潔に保ちましょう。

一方で、ウィッグを使っていること自体にストレスを感じる方も、使っている方の5人に1人ほどいるといわれています。「外れたらどうしよう」「気づかれたらどうしよう」と感じるのは、自然なことです。

ウィッグは、使わなければならないものではありません。使うかどうか、いつ使うかは、ご本人が決めていいことです。

お子さんがウィッグを使う場合は、まわりの子どもとの関係や、体育や水泳の時間に「外れるのでは」という不安がつきものです。前もって学校の先生に相談しておくと、お子さんが安心して過ごしやすくなります。

話を聞いてもらうことの力と、ご家族・パートナーにできること

美容室で施術を受けながらおしゃべりをすることも、ストレスをやわらげ、一種のカウンセリングのような働きがあるといわれています。そのとき大切なのは、相手が「聞いてくれる」ことです。

ここからは、髪のことで悩む方のそばにいる、ご家族やパートナーの方に知っておいていただきたいことです。

1. 励ましより、まず聞く

・「気にしすぎだよ」「大丈夫だって」。善意の励ましや、ただ同情するだけの言葉は、人によってはかえって追いつめてしまうことがあります。

・上手な言葉はいりません。否定せずに、最後まで耳を傾けてもらえることが何よりの支えになります。

2. 人前で話題にしない、根掘り葉掘り聞かない

・ほかの人がいる場所で髪のことにふれたり、細かく問いただしたり、本人の許可なく人に話したりするのは控えましょう。

・「私のときはこうだった」と、ご自身の経験を当てはめすぎないことも大切です。

3. 「すぐ戻るよ」「〇〇がいいらしいよ」と決めつけない

・安心させたい気持ちからでも、根拠のない見通しや方法をすすめると、本人を迷わせてしまうことがあります。

・円形脱毛症など見えにくい場所の変化に本人が気づいていない場合は、責める調子にならないよう、そっと伝えてあげてください。

4. 隠すことも、隠さないことも、本人の選択を尊重する

・ウィッグや帽子を使うことを、まわりからすすめすぎないでください。「脱毛は隠さなければならないもの」という押しつけにならないよう、気をつけたいところです。

・逆に、隠すことを「気にしすぎ」と言わないことも大切です。どちらも、本人が心地よく過ごすための選択です。

ご家族やパートナーは、本人にとっていちばん身近な「話せる相手」になり得る存在です。指摘でも説得でもなく、「いつでも聞くよ」という姿勢そのものが、本人の大きな支えになります。

「相談=治療」ではありません。当院が大切にしていること

当院では、医師・看護師・毛髪診断士がチームとなって、お一人おひとりのお悩みに向き合っています。

1. 「いつ気づいたか」と「今の気持ち」からお聞きします

・髪の変化に気づいたのはいつか、そのころ生活や体調に変化はなかったか、今どんなふうに感じているか。治療の話より先に、まずそこからじっくりお聞きします。

2. 今の状態を、画像で一緒に確認します

・マイクロスコープで撮った頭皮の画像をお見せしながら、今どんな状態にあるのかを分かりやすくお伝えします。

・円形脱毛症などで、状態によっては皮膚科の専門医への受診をおすすめすることもあります。

3. ご家族やパートナーの同席も歓迎しています

・ご本人が望まれる場合は、ご家族やパートナーの方と一緒にお話を聞いていただくこともできます。

4. 相談したからといって、治療を始める必要はありません

・様子を見ることがいちばんよい場合は、そのようにお伝えしています。「まだ治療は考えていない」という方も、どうぞ安心してお越しください。

ひとりで抱え込まず、一緒に前を向くために

4回にわたる連載「ストレスと髪の関係」、最後までお読みいただきありがとうございました。

ストレスが髪に影響することもあれば、髪の悩みが気持ちに影響することもあります。どちらかだけを責める必要はありません。

髪のことで悩んでいる今のあなたは、それだけご自身を大切に考えてきた方です。

「ひとりで悩む」より「誰かと考える」。その最初の相手として、私たちが安心して話せる場所でありたいと願っています。この連載が、少しでも気持ちを軽くするきっかけになればうれしく思います。

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